Apple Payは、iPhoneなどで各種の支払いができる機能です。
クレジットカードやデビッドカードと同様の機能をアップルのデバイス上で可能にするもので、アメリカでは既にサービスがスタートしています。
今回は、昨年日本でもサービスが開始となったApple Payの仕組みと使い方についてご紹介します。
店舗ではiPhone7とApple Watchで利用可能
Apple Payは日本では10月25日にサービスが利用開始になりました。
しかし Apple Payを使うには、事前に知っておくべき事柄がいくつかあります。
まず知っておかなければならないのは、Apple Payを日本のお店や駅の改札で使うには、iPhoneが必要ということです。
しかもこのiPhoneは、「日本国内で販売された最新版のiPhone7」でなければなりません。
というのも、“6s”以前のiPhoneには非接触で支払いを可能にする「FeliCaチップ」が搭載されていないからです。
アメリカにおけるApple Payでは、日本とは違う通信規格が使われています。
このため海外でApple Payが利用できるiPhone7でも、日本では電子決済を利用することはできません。
また日本でApple Payが使えるiPhone7を海外のお店での決済に利用することもできません。
Apple PayはApple Watchでも使えますが、これも日本で販売されているApple Watch Series 2が必要となります。
利用には、カードの登録が必要
Apple Payは、これまではクレジットカードやデビットカードで行っていた決済をiPhoneで行うものです。
このため、利用に際してはクレジットカードなどの情報をiPhoneに登録しなければなりません。
たとえばSuicaのカードをiPhoneに登録するには、カード上にiPhoneを置いてしばらく待ちます。
するとその時点での残高を含むSuicaの情報がiPhone上に転送され、それ以降はiPhoneでSuicaと同じ決済ができるようになります。
またこれまで使ってきたプラスチックカードのSuicaは使えなくなります。
クレジットカードをiPhoneに登録するには「Wallet」というアプリを使います。
これをiPhone上で起動し、画面から「カードの追加」を選ぶことで持っているクレジットカードがiPhoneに登録できます。
セキュリティ面でも不安のない、独自の仕組みと暗号化
iPhoneにクレジットカードを登録するには、いくつか情報を入力した後、カードの写真を撮ります。
これらの情報をカード会社に送って照会を行うわけですが、Apple Payでは画像をそのままカード会社に送るわけではありません。
撮影した画像を独自の方式によって数字に置き換え、これをiPhone内のセキュリティチップ内に保管します。
カードの登録に際して入力されたカード情報は、Apple Payのサーバに送られます。
そしてApple側がカード会社に照会を行いカードの利用承認が行われます。
この時カード会社はカード情報に独自の管理番号を付加し、それを暗号化した状態でApple Payのサーバに返します。
その後この情報は、暗号化されたままの状態でiPhoneに届きます。
このため、途中にApple Payのサーバが介在しても、その情報はAppleが利用することはできません。
このようにしてiPhoneに登録されたカードでは、決済時に管理番号によってカードの承認が行われます。
カード番号そのものが店側に伝わることがないので、今までよりも安全性の高い決済ができるというわけです。
遠隔操作でカード機能の停止も可能
セキュリティという意味では、iPhoneの紛失や盗難などに対してもApple Payは優れた機能を備えています。
iPhoneには、万が一紛失した場合にデバイスのある場所を表示できる“iPhoneを探す”という機能が搭載されています。
クレジットカードを登録したiPhoneを紛失した場合には、この機能で“紛失モード”を選ぶだけで、Apple Payに登録したすべてのクレジットカードを一時的に使用不能にできるのです。
さらに、必要であれば、そのiPhoneに登録した全カードを遠隔操作で削除可能です。
これは従来のプラスチックのクレジットカードのセキュリティを大きく超える点です。
ちなみに、この機能はiPhoneがネットワークに接続されていない“オフライン”状態でも機能します。
生体認証“Touch ID”が、より高いセキュリティに貢献
iPhoneには登録した指紋だけに反応する認証機能が搭載されています。
これも決済の安心感に大きく貢献します。
Apple Payでは、iPhoneに最初に登録したカードだけは、指紋の認証をせずに使えるカードとして自動的に登録されます。
これを「エクスプレス設定」と呼びます。
たとえばSuicaをエクスプレス設定にすると、改札を通る際にいちいちiPhoneのホームボタンに指を乗せる必要はありません。
iPhone本体をセンサー部にかざすだけで改札を通過できることになります。
iPhoneには複数の決済用カードが登録できますが、たとえばSuicaをエクスプレス設定した場合は、他のクレジットカードを使う際には認証が必要となります。
iPhoneの場合は指紋の認証になりますが、つまりこれはクレジットカードを使う際のチェックとなり、クレジットカードを使う際のセキュリティ強化となるのです。
今やスマホは毎日の生活に欠かせないものです。
そのスマホが“おサイフケータイ”であれば、昼休みにスマホだけ持って出かけても食事や買い物ができます。
しかし他のスマホがおサイフ機能を着々と備える中、iPhoneには長らくその機能が搭載されませんでした。
しかしiPhoneユーザーももう我慢する必要はありません。
ついにiPhone7で決済機能が搭載され、他のスマホに引け目を感じる必要がなくなりました。
iPhoneで決済を可能にするApple Payでは、セキュリティ面でも不安のない機能が搭載されています。
カードの登録も簡単なので、ぜひチャレンジしてみてください。