アップルのライトニングと真っ向勝負
USB Type-C(以下Type-C)は、アップルのiPhoneでお馴染みのライトニングの向こうを張る、USBの新しいインターフェイス規格です。
最新のType-Cは、USBの次世代規格であるUSB3.1によって制定され、機能的にもライトニングと似たものを備えています。
Type-Cコネクタがライトニングコネクタと似ている点には、たとえば表裏の別なく使える点があります。
また、コネクタのサイズも小さく、デバイス側に設置のためのスペースをあまり要求しないのも似ています。
これらは、ライトニング同様のメリットをユーザーとメーカーにもたらすことになります。
つまり、使いやすさと設計のしやすさです。
現在、iPhoneと競合関係にあるアンドロイド陣営ではType-Cの採用が進んでいます。
現時点では両者間で使用するコネクタ規格が分かれていますが、今後もこの状況が永遠に続くという保証はありません。
ちなみに、Type-Cはアップルも自社のMacBookに採用している事実があります。
これをみると、Type-Cが今後アップルのデバイスで採用される可能性が皆無とも言い切れません。
Type-Cの登場を契機に、USBコネクタに統一の動き
USBには、実は多くのコネクタ形状があります。
小型のものだけでもUSBミニA、USBミニB、USBマイクロBなどがあり、一部で混乱を発生させていました。
USBに多くの種類があるのは、時代の経過に伴ってUSBコネクタの小型化技術が進んだためとされています。
USBの登場当時には、スマホも小型のデジカメも存在しませんでした。
USBはRS232Cの代替となる通信規格として登場し、プリンタを始めとするPC周辺機器の接続に使われ始めました。
その後、小型の携帯機器が登場する際にサイズの小さなUSBコネクタが必要になり、その都度規格を拡張してきたのが現在のUSBです。
しかし、Type-Cコネクタが登場したことで、このように乱立していたUSBコネクタがType-Cに収束する可能性がでてきました。
Type-Cは、小型でデータと電源を1本で賄える機能性を備えています。
また耐久性も高く、1万回以上の抜き差しに耐える堅牢性も充分にあります。
これらの性能は、スマホに代表されるデバイスにフィットし、ユーザーに多くのメリットをもたらします。
Type-Cなら、PC本体側にも装着OK
USB Type-Cで面白いのは、デバイス側だけでなくホスト側でもType-Cが使えるという点です。
アップルが自社のPCであるMacBookにType-Cコネクタを搭載したことに触れましたが、Type-Cでは、このようなことも可能になります。
従来のUSBでは、デバイス側はいろいろなサイズ・形状のコネクタでも、ホスト側(PC側)にはAタイプのコネクタで接続するのが普通でした。
しかしType-Cでは、ホスト側もType-Cとすることで使い勝手を向上させることができます。
ホスト側とデバイス側がType-Cということは、それぞれの側で裏表の別なくコネクタの接続ができるということを意味します。
また従来型のUSBコネクタに比べて小さなType-Cコネクタならホスト側の設置スペースも節約でき、現在よりもさらに薄いPCや使いやす場所にUSBポートを搭載したPCをデザインすることも可能になります。
1本で充電から映像までをカバーする、高い対応力
新しい規格であるType-Cは、コネクタのサイズや形が新しいだけのものではありません。
双方向に電源の供給が可能で、その上、映像データの送信にも利用ができるなど、柔軟な用途に使える仕様となっています。
このため、Type-Cの普及がさらに進めば、1本のType-Cケーブルで多彩な用途・機器への接続ができるようになります。
現在では用途や機器のコネクタ形状にマッチしたケーブルが必要なため、場合によっては何本ものUSBケーブルを用意し持ち運ぶ必要があります。
しかし、このような状況もType-Cに普及により過去のものとなるでしょう。
たとえばビデオカメラとの接続では、現状では充電のための電源ケーブル、TVやモニタとの接続にHDMIケーブル、パソコンとの接続にはUSBケーブルと3種類のケーブルが必要です。
しかし、Type-Cが普及すれば、こられがType-Cケーブル1本で済むことになります。これは、ケーブルの調達や管理、運用の面で大きなメリットとなります。
Type-Cコネクタの問題点・注意点
よいことばかりがクローズアップされるType-Cですが、もちろん若干のマイナス面もあります。
まず、ケーブルのコストが気になるところです。
Type-Cケーブルは、他のUSBコネクタに比べて丈夫な作りとなっています。
また、大電流にも耐えられる素材が使われています。
この堅牢性と性能の確保には、やはりそれなりのコストが必要です。
これは、ケーブルの代金にダイレクトに反映されます。
もっとも、これはType-C規格が普及過程にある現段階での懸案事項ではあります。
将来的にType-Cの普及がさらに進めば、量産効果によって製品の価格は必ず下がることが期待できます。
また、USB Type-Cはコネクタ形状の規定であり、データの転送速度その他の性能面は別の規格によって規定されているということも知っておくべきでしょう。
具体的には、最新型のType-Cケーブルの性能は2013年に仕様発行となったUSB3.1によって規定されています。
現時点では旧規格であるUSB2.0の性能を備えてType-Cの形をしたコネクタを装備したケーブルも多数流通しているので注意が必要です。
現状のやや混乱したUSB環境を一新する可能性があるUSB Type-C規格。
既に少なくない数のデジタルデバイスに採用が開始され、爆発的な普及も時間の問題のような雰囲気があります。
現状では多数のコネクタ形状が存在するUSBですが、Type-Cコネクタが普及すればこの状況も改善するはずです。
今後のType-C規格の普及に期待したいところです。